電子機器や装置の分野では、IP（Ingress Protection）等級を理解することが、埃や水、その他の汚染物質などの環境要素から製品を適切に保護するために最も重要です。IP等級は、エンクロージャ、コネクタ、およびその他のコンポーネントが提供する保護レベルに関する重要な情報を提供し、消費者や企業がさまざまな用途の機器を選択する際に、十分な情報に基づいた意思決定を行うことを可能にします。この包括的なガイドでは、IP定格の複雑さをより深く掘り下げ、定格の各桁や文字が何を意味するのかを読み解き、さまざまな業界や状況におけるその重要性を探り、その重要性を示す実践的な例を示します。

IPレーティングとは？

IP等級は、Ingress Protection ratings（侵入保護等級）またはInternational Protection ratings（国際保護等級）とも呼ばれ、国際電気標準会議（IEC）によって定義された標準化された等級です。この等級は、さまざまな環境条件下での固体物体（ほこりや破片など）や液体（水など）の侵入に対するエンクロージャの保護等級を規定しています。IP定格は、「IP」の後に2桁の数字（オプションで1文字または2文字）が続く形式で表され、各桁は異なる保護等級を表します。

IPレーティングの解読

IPレーティングの1桁目は固形物に対する保護レベルを示し、2桁目は液体に対する保護レベルを示します。それぞれの桁を詳しく見てみましょう：

1桁目（固体に対する保護）：

0：物体の接触および侵入に対する保護なし。

1-6:指、工具、小物など、サイズが大きくなる固形物に対する保護。

7：筐体が水深1メートルまでの水中に一定時間浸漬された場合の水の浸入に対する保護。

8：特定条件下での長時間の水中浸漬に対する保護。

2桁目（液体に対する保護）：

0：水に対する保護なし。

1-6:水滴、水しぶき、強力な噴流など、さまざまな方向からの水の浸入に対する保護。

7：筐体が一定深さまで水に一定時間浸漬された場合の水の浸入に対する保護。

8：指定された条件下での連続的な水没の影響に対する保護。

IP格付けの文字を理解

  2桁の数字に加え、一部のIPレーティングには、特定の保護形態に関する追加情報を提供する1文字または2文字が含まれる場合があります。IPレーティングで最も一般的な文字は以下の通りです：

「X」（データなし）： 固形物または液体に対する保護について、製品が試験または評価されていないことを示します。

「A」（追加保護）：腐食や氷結など、特定の環境条件に対して製品が追加的な保護を提供することを示します。

「B」（機械的衝撃に対する耐性の向上）：機械的衝撃に対する耐性が向上していることを示します。

「C」（機械的衝撃に対する保護強化）：製品が以下を提供することを示します。 

破壊行為や偶発的な損傷などの機械的衝撃に対する保護が強化されました。

さまざまな業界におけるIP格付けの意義

  IP等級は、電子機器が過酷な環境条件や厳しい規制要件にさらされる業界では特に重要です。さまざまな業界におけるIP定格の重要性を説明するために、いくつかの例を挙げてみましょう：

建設およびインフラ：建設現場や屋外施設、インフラプロジェクトで使用される機器は、ほこりや湿気などの環境要因に耐える必要があります。

製造および産業オートメーション：製造施設の機械やオートメーションシステムでは、繊細な電子部品をほこりや湿気、化学物質から保護するために、高いIP定格を持つエンクロージャが必要とされることがよくあります。

家電製品：携帯電話、タブレット、スマートウォッチなどの家電製品には、さまざまな使用シナリオや好みに合わせて、防塵・防水性能を示すIP等級が設定されています。

医療機器：医療現場で使用される医療機器や装置は、厳しい環境下で患者の安全と機器の信頼性を確保するため、厳格な IP 定格基準を満たす必要があります。

結論

  要約すると、IP定格を理解することは、さまざまなアプリケーションの特定の環境要件を満たす電子機器やエンクロージャを選択するために不可欠です。IP定格の数字や文字を読み解くことで、消費者や企業は、意図された使用ケースに対する製品の適合性について、十分な情報を得た上で判断することができます。建設、製造、家電、ヘルスケアなど、IP定格は、電子機器や装置がさまざまな環境条件下で保護され、動作し続けるために重要な役割を果たしています。このトピックの詳細については、国際電気標準会議（IEC）をご覧ください。